本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]

[昨日からの、つづき]
・・・さて、昨日、打ち合わせで放置プレイされた俺。
果たして、本日は、先方どんな技を繰り出してくるのか?
朝10時、吉祥寺の待ち合わせ(予定)の喫茶店へ赴く。
中に入る、が、先方の姿は無い!
おっ、裏をかかれたか。
連続放置プレイとは予想を超えている・・・。
と、思ったが、よく、目を凝らしてみると、先方の姿がうすぼんやりと浮かんでくる。
おおっ、テーブルに上半身を伏せ、頭をこすりつけるようにして深々と謝罪の姿勢。
すっかりテーブルと一体化して、見えなかった、おおっ、これぞ、秘技・カメレオン土下座かっ。
出版界でもこの術を習得すれば一流の編集と呼ばれている、究極の技、ううむ、恐るべし。
こちとら、すっかり蛇に飲まれたカエル状態だったわい。
ふむ、この技、次回作の中で使えるかも。
そして、先方、幾度も「ま、誠にすみませんでしたっ。わたくし、申し訳なくて、徹夜で写経なぞしておりました。霞大先生は徹夜で射精ですか、よっ、マカミスキング、にくいねっ、ヨイショッ」などと繰り返し、言葉攻め。
さらに、とどめは、聖水プレイ、そう、吟醸清酒一本を献上してくださるのだった。
むはははは、朝っぱらから、酒一本を賜り、こっちはグウの音も出ない。乾杯、いや、完敗であった。
というわけで、無事に、有意義な打ち合わせの時間を過ごしましたとさ。
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こんなイイ酒もらえるなら、何度でも放置OKね。喜ぶうちのスタッフ一同。
郵便物の中に一通の封書。
定規を当てて書いたような、脅迫状めいた筆致。
おっ、見覚えあるぞ。そろそろ、この季節か。
落語家・立川左談次師匠からの案内であった。(以降、敬称略。乞ご了承)
「はたらく 左談次の会」。
なんで、わざわざ、「はたらく」とあるかといえば、この人、大の怠け者。
その上、腺病質っぽくて、体も弱い。
その上、大の酒好きで、酒癖が悪くて、(川柳川柳と挟まれて飲んだら悲惨だと噂されている)しょっちゅう二日酔いで寝込んでる。
だもんで、たまに仕事する時、わざわざ身構えて、「はたらく」と宣言。
周囲では、「はたらけ! 左談次の会」と呼ばれている。
2席+本、と案内状に。
前者はもちろん落語。
で、本というのは「読書落語」。人様の書いた本を朗読し、いちいちツッコミを入れて笑いをとるという芸。
半分、他力本願なところが、いかに怠け者かという証左。
が、この、どこまで計算しているのやら解らん投げやりな芸風が、神経の裏側をくすぐってくるような笑いをおびきだしてくる。クセになる味。
さて、今年はどうしよ?
歌舞伎役者の市川左談次との共演、「ふたり左談次の会」を観に行ったことがある。
プロデュースに、快楽亭ブラックが関わっている。
最初に立川×市川ふたりの左談次の対談。
次に、市川左談次の芸談、これが何とも下品きわまりない。
歌舞伎座出演の最中に、ウンコを漏らしてしまい、それを客席に気付かれないように四苦八苦した体験談を匂いそうなくらいに生々しく語る。
客席前列の方を埋めていたのは、この左談次サマの追っかけファンのおばさま方。
「もう、やだぁ、下品なんだから、左談次サマったら」と黄色い声を出して、あこがれの君のウンコ話をすこぶる喜んでいる。
そして、次に、上がったのが快楽亭ブラック。
演目は「聖水番屋」。聖水プレイにのめりこむ侍たちの狂態を描くやはり下品きわまりない傑作。
と、ところが、さっきまでウンコ話で喜んでいたおばさまたち、「ふんっ、何て、下品なんざんでしょっ」と怒りをあらわに次々と立ち上がり、帰ってしまった。
おい、歌舞伎役者のウンコはよくて、落語家のオシッコはだめなのか、差別だよー。
で、トリの立川左談次が上った時には、客席前半分はスカスカであった・・・。
めげるな、左談次! はたらけ、左談次!
晩飯。ふかしカボチャに、ミョーガとタマネギのポン酢和え。太さ二センチの大きなゴボウが手に入ったのでキンピラを沢山作るも、全部食っちまったよ。とろろ飯。
野菜尽くしで身体の中をきれいにしておくと、次の日の酒が美味いのだ。いい酒が朝、手に入ったからね。
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