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■ 6月28日(日)・2009
June 28, 2009 11:03 AM


 で、昨日のつづきである。

 「グラン・トリノ」の話。
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(警告!ネタバレ有り。長いし・・・)


そう、
この作品には、
イーストウッドの、アメリカの、
映画史が幾重にも塗り込まれている。
イコール、それは、感謝と敬意。


たとえば、
ほんの一部だが、スポットを当ててみよう。


まず、
タイトルの「グラン・トリノ」は車の名。
イーストウッド演じる主人公の名は、コワルスキー。
そして、この映画は、俳優として最後の出演作品であり、
また、それと二重写しとなるように、
ラストで、コワルスキーは命果てる。
自らの意志で消滅するのだ。


車、コワルスキー、自らの消滅、
或る映画への目配りを感じずにいられない。


「バニシング・ポイント」


そう、
リチャード・C・サラフィアン監督によるニューシネマの名作であり、
カーアクションの傑作だ。
タイトルの意は、消滅点。
車(70年型ダッジ・チャレンジャー)のハンドルを握り、
ラスト、立ち塞がるブルドーザーに自ら激突死する
主人公の名は、コワルスキー。
そして、
「バニシング・ポイント」が製作されたのは、
1971年。


同じ年に、
「ダーティー・ハリー」がある。
マカロニ・ウェスタンを経た、
クリント・イーストウッドがアメリカで最初の成功を収めた作品だ。
警察機構と対峙する型破りな刑事キャラハンの造形を核に、
製作姿勢にまでアウトローの匂いが満ちている。
ニューシネマの血筋と言えよう。


そう、アメリカ映画史で、もっともエキサイティングと位置づけられる七十年代、
この混沌と激流を駆け抜けた
「バニシング・ポイント」への同胞意識が、
「グラン・トリノ」に込められている。
21世紀の現代への伝言なのかもしれない、
ニューシネマのメモリーと価値を語るための。


「明日に向かって撃て!」「俺たちに明日はない」「イージーライダー」etc
いずれも死によって終幕する。
ただ、その意味が「グラン・トリノ」と大きく異なる。
が、それは過去の否定ではなく、むしろ応諾であり、
結果、21世紀のニューシネマ「グラン・トリノ」を生むことによって、
敬意を表した、そう思えてならない。


一方、
「ダーティー・ハリー」は最初の企画の段階で、
主役候補の一人としてジョン・ウェインの名が挙げられていた。
ハリウッド映画の王道の中の王道のキング・オブ・キング。
それが、紆余曲折を経て、
イーストウッドに巡ってきた。
後に、ジョン・ウェインは、
ハリー・キャラハン役を演じなかったことを後悔する
コメントを残している。
そして、その思いを埋めるように、
「マックQ」「ブラニガン」など刑事ものに意欲的に取り組んだ。


イーストウッドは、マカロニ・ウェスタンの人気者。
ジョン・ウェインは、正統派西部劇の大御所。
極論すれば、獣道と王道、
双方があまりにも対照的なのが実に興味深い。


そして、
ジョン・ウェインが最後の作品と覚悟して主演したのが、
西部劇「ラスト・シューティスト」。
この映画人生の幕引きとして、
監督を務めたのが、
ドン・シーゲル。
そう、「ターティー・ハリー」の監督である。


この「ラスト・シューティスト」は
J・ウェイン演じる老ガンマンが、
彼の命を狙う者どもを呼び寄せて、
自らの死に場所を作る物語である。
作品としても、内容としても、
バニシング・ポイント(消滅点)だ。
「グラン・トリノ」の血脈である。
なんと、獣道と王道のクロス。
これもイーストウッドの意図であり、もちろん敬意であることは間違いない。


また、「ラスト・シューティスト」でも、
老人(J・ウェイン)と少年(ロン・ハワード!)の交流が描かれる。
そして、二人の間に位置する銃。
この意味が、
「グラン・トリノ」では相似形を成しながらも、
現代の、いや、イーストウッドの頑迷なまでの姿勢が明示されるのだ。


こうして、俯瞰してみると、
「グラン・トリノ」には
ハリウッドとニューシネマ、
正調と反駁、伝統と革新が、記念碑のように刻印されている。
アメリカ映画史の光と影をまるごと受け止めた、
イーストウッドが、敬意と感謝を幾重にも塗り込めたまさしく集大成といえよう。


面白い映画や芸術的な映画は数多見てきたつもりだが、
この「グラン・トリノ」
どうやら、
尊敬する映画になってしまったようだ。
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 晩飯。ビビンバ。頂き物のローストビーフ(感謝!感激!)


健筆!献筆! ホント、五十歳なんてまだまだヒヨっこ!


犬筆!
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「ロング・ドッグ・バイ」



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