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■ 10月29日(木)・2009
October 29, 2009 8:58 AM


「九マイルは遠すぎる」
ハリイ・ケメルマンによる
本格ミステリの傑作短編である。


これは、ふと、通りすがりに耳に入った会話の断片、
「九マイルもの道を歩くのは容易なことじゃない。ましてや雨の中になると大変だ」
このわずかなフレーズを多角的に分析し、
推理の試行錯誤を繰り返した結果、
ある真相に辿り着いてしまう、
という論理の面白さを追求した作品である。


こないだの、麻薬取締法違反の容疑者・押尾学の公判
で、
この「九マイルは遠すぎる」を思い出してしまった。
というのは、
以下の公判記録のくだり(ウェブ・サンケイスポーツより一部抜粋)。


 検察官(以下検) 女性と会う前にメールでやりとりをしたか
押尾被告(以下押) はい
検 最後に送ったメールの内容を覚えているか
押 はい
検 「来たらすぐいる?」ですね
押 はい
検 女性はなんと返信してきた
押 覚えてません
検 「いる」という返信では
押 はい
検 「来たらすぐいる?」とはどういう意味
押 僕自身のこと。クスリの話ではありません
検 自分が欲しいのか?という意味か
押 僕自身ということ
検 取り調べでは違うことを言っていた
押 体、陰部、その他。ここでは言いにくいことなので
検 陰茎のことですか
押 はい
検 すぐセックスしたいかという意味か、いると返信したのはすぐ陰茎が欲しいと
押 だと思います
検 これまでやりとりしていたメールを見ても、陰茎やセックスの話は出てこない
押 はい
検 いる?と聞かれて、意味をすぐ理解したのか
押 はい
検 普通は「いる」というのは、物のことをいうのでは
押 人によってとらえ方は違うと思います
検 セックスは「いる」ではなく「する」とか「やる」とかいうのでは


「来たらすぐいる?」
たった七文字のフレーズから、
この検察官、ロジックを積み重ね、弁証法を試み、
「いる」と「やる」と「する」の比較
へと導いてゆき、被告を追い詰める。
本格ミステリの魅力に溢れているではないか。


短編「来たらすぐいる?」
書いてみようかな。


 晩飯。
この日、
二十年目の結婚記念日
にして、
十九年目の親父の命日
という何とも複雑な日だけど、
まあ、手巻き寿司でもと、具は、ナカオチ、メダイ、アジ、カッパ、
親父も天国で飲んでるだろうよ。



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