酔狂に猛走する、ユーモア本格ミステリの傾き者、推理作家・霞流一の公式サイト、「探偵小説事務所」へようこそ!



■ 浪人街外伝
June 9, 2004 8:35 AM


映画「浪人街」(昭和3年上映)の脚本(山上伊太郎・作)を下敷きにした同名の舞台戯曲(マキノノゾミ・作)が平成16年5月、東京、青山劇場にて上演された。
舞台は唐沢寿明、松たか子、中村師童という現代を代表する俳優が総出演。主題歌を坂本龍一、衣装をワダエミ、演出を山田和也と蒼々たる面々が担当し大変 な話題作となった。
その中に登場するキャラクターを使って、霞流一と杉江松恋のふたりの作家が自由自在に「外伝」を1本ずつ書き上げた。霞の外伝は、「お新捕者控  幻夏逆蛇蔵(げんかさかじゃくら)」。


退廃した江戸末期、しょぼい街の居酒屋「いろは」で働くイイ女、お新の正体は女スリ。彼女が思いを寄せる浪人は荒牧源内。これが絵に描いたようなヒドい男で、お新がせっせと貢いだ金で飲んだり、遊んだり。気の強いお新がののしってもどこ吹く風である。さて、外伝では、お新の幼なじみの兄が、札差「近江屋」の土蔵で起きた密室殺人事件に巻き込まれた上、源内に嫌疑がかかったことからお新が事件の推理、解明に立ち上がる筋書になっている。
殺された被害者は逆さ磔にされ、腹を割かれ首が切断されていた。その頃、江戸では野良犬やウサギ、キツネが腹を裂かれて首を切られた猟奇事件が連続して起こっていた。
事件とのつながり、密室の謎が解けたとき、おぞましい人間の性が隠されていたことがわかる。


[出版] 平成16年6月9日  宝島社(宝島文庫)
●ご購入はこちら

※写真をクリックすると拡大表示します。



 [ このエントリーのトラックバックURL]
http://www.kurenaimon.com/mt/mt-tb.cgi/6373