本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]

何だっけ、何か、予告してたな。
あれっ、昨日も同じ書き出し。
同じ日が延々と繰り返されてるのか。
さながら、「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」?
んなわけない。
単に俺がめんどくなって書くのを先延ばししてただけだ。
そう、一昨日、書くはずだったこと。
居酒屋「戎」北口店のこと。
例によって、週に一度の楽しみ、この店を訪れた。
あ、まず、ここの客層と席について簡単に解説しておこう。
この店は、ウナギの寝床のように、奥に長い構造になっている。
コの字型のながーいカウンターが延びている。
その先に、テーブル席と小上がり。
入り口にもっとも近いカウンター席、ここに常連さんたちが固まってる。
ほぼ毎晩、来ている最もディープな常連さんたちだ。
野球でいえば、スターティングメンバー。
この席、「レギュラー」と勝手に俺は名付けている。
次に、真ん中へんのカウンター、やや浅めの常連、まあ、俺クラスだな。
野球でいえば、代打とか代走、ワンポイントリリーフくらいか。
この席を「ベンチ」と呼ぶ、もちろん、俺が勝手にね。
で、もっとも奥のカウンターやテーブル席などに一般のお客さんが座る。
ここを、「ファーム」と呼ぶ。
つまり、入り口から奥にかけて、常連度が薄くなってゆくわけ。
「レギュラー」「ベンチ」「ファーム」。
もちろん、この店は、どのお客さんも大切にして、平等に接してくれる。
一見だからといって、対応が変わることはない。
そこらへんが実に気持ちよく、連日にぎわっているのが納得できる。
で、今宵(一昨日の夜だな)、俺は「ベンチ」に座る。
今月は忘年会シーズンで、なかなか、このいつもの席に座ることが出来ず、「ファーム」が長かった。
どうやら世間では忘年会の盛りは一段落ついたのかな?
今年は、キレイに忘年会ゼロの俺は都会に出ることなく、世相がよくわからん。
ともあれ、今宵は、無事、「ベンチ」に座り、落ち着いた気分になる。
そして、冬の名物、「湯豆腐」をオーダー。
この湯豆腐、小鍋仕立てで、ちゃんと固形燃料の火にさらしながら、楽しめるようになっている。
一人で飲むのに、玩具を与えられたようで、実に嬉しい。
鶏肉が二かけらほど入っている。
数年前は、この鶏肉が無かった。
豆腐と白菜、ネギ、シメジ、これが初期の頃の湯豆腐。
この初期の湯豆腐が改造される。
改造したのはお客さん。
「レギュラー」の常連さんが、
「焼き鳥、焼かないで、生のまま一本」
と注文。
そして、串から肉を外し、湯豆腐に入れる。
そう、鶏の水炊きにして楽しんでいた。
これを他の常連さんが真似して、さらに、「ベンチ」「ファーム」にまで伝播。
どうも、これは店にとって、計上利益から逆算して不利だったようだ。
やがて、最初から湯豆腐には鶏肉が二つ入るようになった。
ここが客と店との歩み寄り地点だったのだろう。
以後、「レギュラー」席で、生の焼き鳥の注文は無くなった。
今の湯豆腐の背景には、そんなささやかな歴史があったのである。
あ、最近は、キムチ鍋も登場。
これも、もしかして、「レギュラー」が湯豆腐とキムチを注文した経緯があるのかも。
店は客によって作られてゆく、ってこういうことかね。
今宵(本当に今宵)、家内とささやかな忘年会。
すぐ近所の「のらぼう」にて。
武蔵野の野菜をふんだんに使った美味しいメニュー。
サトイモと銀杏のガンモ、ブロッコリーと牡蠣のチーズ焼き、キンメダイのアラと野菜の煮付け。どれもこれも満足ナリ。
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