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■ 12月20日(水)
December 20, 2006 2:27 PM


 カンニング中島の訃報に、いささか気持ちが沈んでいる。
 カンニングの芸といえば、周知の通り、竹山がキレて、中島がオタオタする、というコンビネーション。
火事場に穴の開いたバケツを持ってくるオカシサだ。
オタオタがいなければ、キレる面白さもトーンダウンしてしまう。
もう、あの芸を見ることは出来ない。


あの芸のキッカケは、「エンタの神様」で、竹山がズボンを半ば下ろし、
「俺らなんか何やってもウケんわい。なら、ウンコしたる!」
それを見て、慌てふためく中島。止めようと必死。
しかし、竹山はパンツにも手をかけながら、しゃがみこみ、
「舞台でウンコしたら、これ以上、おもろいことあるかっ!」
ADが飛び込んできてカンニングの二人を舞台袖に押し込んで、退場。


まあ、半分、筋書きだろうが、ネタとしては、文字通りヤケクソだ。
それまで、カンニングはウケないことをネタにしていた。
それも、もはや限界、崖っぷちの捨て身の覚悟だったろう。
でなきゃ、本気でないにしろ、あんな舞台ウンコなんて、しょうもない芸はかけない。
が、そのしょうもなさをさらけだした、そこまでやらなきゃならなかった、搾り出す断末魔の肉声のような危機感が異様な迫力を見せてしまった。
火事場と穴のあいたバケツを観客に幻視させた。
それが笑いを生んだのである。
道が現れた。
そして、それを、コンビでさらに追求し、拓こうとしていた。
なのに・・・。
神様は笑わない人らしい、そりゃ神だからね。いらんわっ、そんなもんっ(キレッ!)。


フジの「めざましテレビ」を見たら、カンニングの過去の映像が流れていた。
「この中華屋さんが無ければ、俺らコンビは無かったんですよ」
さびれた中華屋。
シャッターが下りて、今は、閉店してしまっているらしい。
ん、どこかで、見たことのある風景だ。
驚いた。
うちから歩いて二分ほどの場所じゃないか。毎日、その前を通っている。

061220.jpg



二人の原点の一つらしい。まるで、その頃の売れない時代の象徴のようだ。


それにしても、松本竜介の逝去の際も同じことを思った。
どうして、笑芸人の死はなおさらに悲しく感じるのだろう?


謹んでご冥福をお祈りいたします。


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 晩飯。ホウボウが安くて、丸一匹、ぶつ切りにしてもらい、ちり鍋に。
仕上げの雑炊はすごくダシがよく出ていて、しっかりとした美味。


訃報の多い日だったけど、ちゃんと、晩には腹が減ってる。
仕方ないだろっ。
生きてる喜びを生きてるうちに感じるしかねえだろっ!
キレてみる、カンニング風に。



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