本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]

たまには、行ったことのない店に行ってみる。
つい一昨日、「戎」北口店で飲んだばっかしだし。
で、選んだのは、今年、南口にオープンした「なぎ屋」。
方南町の本店がたいへんな人気らしく、我が西荻が、支店一号。
焼き鳥、焼きトン、それに、モツ鍋が売りもの。
わりとリーズナブルで、なかなか美味しい。
モツ鍋は二人前から、なので、俺は他のテーブルを見て、指くわえていた。
イイノが上京した時、誘って、食ってみるとするか。
あ、イイノとはもちろん、ホラー作家の飯野文彦センセー、現在、「週刊アスキー」にて絶賛連載中!
カウンター席に座るなり、店員とジャンケンする羽目に。
少し恥ずかしい。
サービス期間で、勝つと、一杯目のドリンクが無料。
負けて、生ビール大、500円ナリ。
隣席は見事にタダ酒をせしめていた。
うっかり「いいなぁ」と洩らしてしまい、恥ずかしかった。
一時間ほど飲み食いし、全体の印象として、どちらかというと、若い人むけだと思った。
ジャンケン酒のことも含めてね。
煮込みがかなり美味しかったが、こってりと脂分が多い。
二十代、三十代の頃だったら、これくらいが良かったろう。
現在、中性脂肪に気を使っている身としては、ちょいと重い。
また、自然と味覚もそうなっている。人間の身体ってよく出来てるよ。
焼き鳥、焼きトンは「戎」といい勝負。
やはり、モツ鍋が気になる。
人様の食ってるのを、遠目に眺める。
ホルモン焼きを鍋にした感じで、スタミナがつきそう。
あ、ホルモンって、語源が関西弁の「捨てるもの=ほるもの」だと言われている。
けど、これは、間違いらしい。後付けの理屈だってさ。
幾つかの文献を読んで知った。
昔から内臓肉(ホルモン)はよく食されており、捨てることは稀有だった。
腹の中の肉ということで、「ナカノモン」と最初は言われていた。
滋養がたっぷりなので、「男性ホルモン」とか「ホルモン注射」などの医療の言葉を比喩に使ったのが端緒だった、これが真相らしい。
たいてい、オヤジ年代(まあ、俺もか)と飲むと、関西語源説の薀蓄を聞かされるけど、あっさり切り返してやるといい。
なんだっけ、モツ鍋の話か。
こんど、イイノと食ってみてから、報告しよう。別にイイノでなくても構わんけど。
で、煮込みの方は、俺としては、「戎」に軍配が上がる。
ので、やはり、またぞろ、「戎」通いが続けられるだろう。
煮込みの美味い店は、都内だと、必ず森下町の「山利喜」の名があがる。
社員時代、同僚らとよく行った。
確かに美味い。ホンノリとワインの香りがする。
付け合せに、ガーリックトースト。
煮込みと言うよりも、もはや、モツのシチューといった感じだ。
煮込みの名店って、まだまだ、隠れているに違いない。
あれだけ飲み屋があるんだからね。
日本で、もっとも煮込みを食った人って、誰だろう?
煮込みのレポートだけの本って読みたい。
ラーメン、蕎麦、寿司、丼などの実物大の写真集というのがある。食欲をそそる。カラフルだし。
けど、煮込みの写真集・・・・・・?
やはり、活字がメインでちょっとモノクロ写真が添えてあるのが望ましい。
立呑み研究会、居酒屋研究会は実在するが、煮込み研究会は検索にかからなかった。
存在するとしても、入りたいかどうか、迷うところだ。
とにかく、煮込みと酒類だけで、次々と店を巡る。
一晩に、十軒は行けるだろう。
しかし、都内を制覇するのに、どれくらいかかるだろうか?
それに、会員の健康状態は?
おそろしく、テラテラと顔色がよすぎてギンギンと精力的なオッサンたちの一団か、あるいは、脳梗塞まであと一歩のゾンビの群れ、どっちかだろうが、どっちも嫌だ。
大学のサークルで、煮込みクラブ。
あったりして。
ワセダ・煮込み・クラブ。WNC。略して、ワセニコ。
なんて、退廃的なんだ。
十九、二十歳のいい若いモンが煮込みを求めて繁華街を徘徊する。
合宿は、三泊四日、山ン中でテント生活しながら、煮込み続ける。
ドラム缶いっぱいの煮込み。
最終日が美味そうだが、夏場は心配だ。
秋の早稲田際では、もちろん、煮込みの屋台。今年は、ノロウィルスが心配だ。
で、再来年、創立五十周年を迎え、壮大なOB会なんかも開催される。
ホテルの広間には、もちろん、いろんな名店の煮込みの出店が。
ちゃんと、女子部員もいるんだ。
卒業後、ヒルズ族と結婚して玉の輿に乗った女子部員は、金に飽かせて「煮込み風呂」なんかでお肌ツヤツヤさ。
そんなこんなの大勢のワセニコの現役とOBらが一堂に集う。
しばらく、その広間、煮込み臭くて、使用できないだろうね。
全日本大学「煮込み」連合(略して、ニコ連)の方はどうさ、最近の活動、どうなってるのかな?
今度、現役に聞いてみよ。
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