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■ 12月7日(木)
December 7, 2006 3:19 PM


 夕刻、浅草へ。
「トンデモ落語会」を観賞するためだ。
立川談之助師匠、いつも御招待、深く御礼申し上げます。
場所は、浅草・東洋館、元ストリップ劇場(あのフランス座だっけ?)のせいか、横幅がわりとある構造。
客席を見渡すと、常連さんや、関係者さんのお顔がちらほら。
安達瑶さんを見つけ、ご挨拶に。


(以下より、敬称略、ゴメンナサイ) 


 快楽亭ブラック、三遊亭白鳥らが、他の高座と掛け持ち、なので早めに登場。
普通ならば、トリをとる方たちが早々と出演し、中入り後に、前座が登場という変則プログラム。
けれど、内容は充実し、存分に笑わせてくれた。
映画館に途中で入り、また、冒頭から見て、途中で出たと思ってください、とは快楽亭ブラックの弁。さすが、上手いことを言う。


 で、のっけから、
快楽亭ブラック。
「放送禁止落語2」が本日、出版の予定。
しかし、収録作品「朝鮮人の恩返し」の一部に抗議する団体があり、刊行が一週間延長という。
その団体とは朝鮮関係ではなく、信濃町あたりにどーんと本拠ピルを構える某宗教団体、政治にも強い。
なるほど、山本リンダの浣腸ネタが引っかかっているのだなと推測。
なんでも、初刷六千部を全部買い取り、焼却するという。
版元の洋泉社の編集長が談判中。きっと決裂し、そのまま、来週刊行、って展開になるらしい。
ああ、早く、欲しいよぉ。


このハナシがまくら。
演目の方は、落語立川流一門でのバトルロワイヤル。
国家が伝統芸能として、落語家を保護することを決定したけど、各一門につき、一人のみ。
だもんで、談志家元は、弟子たち落語家に殺し合いを命じる。
途中から、デスノートに変じていくあたりがヒネリが効いている。


また、大晦日の深夜、スカパーのパラダイス・チャンネルに出演するらしい。
立川談之助、瀧川里朝らとともにハレンチ寄席、既に収録済みとのこと。
演じるネタは、やはり、大晦日なので、アレだ、「いっぱつのオマンコ」。
しかも、AV女優をはべらしての実演付き、リアル「いっぱつのオマンコ」。
果たして、どこまでオンエアされるのか?
うちは、スカパー入ってないので、うーん、見たいのに、苦しいよぉ。


 次は、三遊亭白鳥。
ホント、本来ならトリをとる人たちが早い段階で次々と登場するので、凄く豪華に感じてしまう。
「文七元結」のその後を描く。
途中から、芝浜の漁師が登場し、双方の噺が絡み合ってゆく。
超絶技巧?の新作落語だ。


 立川談之助。
最近、大名跡を継ぐ落語家、モンダイ有りと世間ではもっぱらの評判ですね、ってハナシ。
なるほど、桂文楽(ペヤングソース焼きそば)、柳家小さん(弟子のいない息子)、林家正蔵(こぶ平)、春風亭柳朝(来年、朝之助が継ぐらしい)等等、先代から著しくレベルダウンしている。
ならば、逆に大名跡をペナルティにしてしまえ。
その年、もっともつまらなかった落語家に継がせる。みんな、必死になり、落語界が活性化するぞ。
例えば、三遊亭円生ならば川柳川柳とか、古今亭志ん生は夢月亭清麿、そして、三遊亭円朝は立川キウイ。
なんだか、キウイがずーっと円朝で、そのまま継いでしまいそうで恐ろしい。
実名が飛び交うスリリングな一席に場内爆笑。


 中入り。
コミケのように、舞台でCDや本の即売会。俺は雑誌「落語立川流」の新しいのを購入。


 立川三四楼(もと快楽亭ブラッC)、ようやく前座が登場。
世界史の有名人の名前で延々と駄洒落を連ねる。
その数、50は超えていたかもしれない。しかも、いちいち、画用紙に書いた有名人の似顔絵を見せるが、その下手さが刺激的。
悪い麻薬でトリップしたように、爆笑が起こる。林家三平のノリだ。


 次に登場したのが、初めて見る若い女性のピン芸人、それもメイド服。
「おさなぎ色」、という芸名。
後に、検索したら、ホームページがあり、経歴などを知る。現在、27歳か。
いきなり、「おさなぎ色ってどんな色? こんな色よ」とメイドスカートをめくり、下着の尻をこっちに向ける。サービスになっているのかどうだかよく解らん尻だ。
そして、
「マンゴウとマンコ、言葉にしたら区別つかない(←つくよっ)。マンゴウは云々、マンコは云々・・・」
この手のギャグを27歳の乙女が連発。
「生ハムとナマハメ」「緊張と浣腸」「フェラガモとフェラチオ」etc。
客を凍りつかすことなく、ちゃんと笑いをとっていく。舞台度胸の良さだろう。頑張れ!


 瀧川里朝。
上記パラダイス・チャンネルの宣伝がまくら。
ディレクターに、「オマンコは駄目」だけど「オマンチョならいい」とワケの解らない指示を受けたとのこと。
どっちにしろ、途中で混乱して、ピー音だらけだろうってさ。
演目は、いじめられ子をブードゥー教の黒人神父が助けて、代わりに復讐してやる心温まるハナシ。
黒人の乞食とか、キケンな小ネタを口走り、いちいち一人ツッコミやる芸風がおかしかった。


 トリは、立川談笑。
真打になって以来、いろんな面で余裕が感じられる。
さりげない所作や、投げ捨てるような尖ったセリフにさえ、笑いを洩らしてしまう。
某大手広告代理店を題材にした謀略もの?
四国の崖っぷち犬も、アザラシのタマちゃんも、この世のほとんどの事件は、広告代理店の仕込み。
ロシア人スパイの毒殺は、もちろん、「007/カジノロワイヤル」の宣伝キャンペーとして請け負った。
で、ポロニウム毒を飲ませたのも、代理店社員で、その功績が称えられ社長賞を授与されることに・・・・・・。
談笑はフジテレビ「朝なまワイド」のレポーターを務めるだけあって、その周辺のネタをいろいろとギャグにして散りばめ、飽きさせない。
九時に閉館(門限かよっ)という厳しい状況で、駆け足ながら、トリにふさわしい高座であった。


 幸せな気分に浸り、帰路に。
西荻に着くと、もちろん、「戎」北口店で一杯。
忘年会シーズン、凄い混み様で、一番奥のカウンターだった。仕方ねえべ。



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