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■ 12月9日(土)
December 9, 2006 2:36 PM


 雨降り。
番犬ハチ君は朝の散歩の後、ずーっと、丸くなり、眠り続ける。
敷物のように固まって動かない。
時折、こちらの物音に反応し、目を開ける。が、ぴくりともしない。
折角の暖が、体を伸ばすと逃げてゆくのだろう。
人間のコタツと同じようなものだ。
静かな一日。


 中国の広東省の或る市で、売春婦100人が逮捕。
そして、「市中引き回しの刑」。
いったい、いつの時代じゃ!
ロシアのスパイといい、大国はレトロブームなのか、三丁目の夕日・大陸版。


 ムツゴロウ・畑正憲をキャラにしたパチンコが登場したらしい。
どんな仕掛けなんだ?
話しかけてくるのか、あの声で、嫌だ。
ハンドルが牛の乳房になってるのか、嫌だ。
玉と一緒に、ヤギや牛のおしっこも出てきて、
「さあ、おて手を洗いましょう」とか、嫌だ。
これがヒットしてしまったら、他にも凄いキャラのパチンコが企画されるのか?
岡本太郎、
パチンコ台、爆発だ!
丹波哲郎、
昇天!


そうそう、八十年代だったと記憶するけど、ホントにパチンコで人が死んだ。
7が三つ横並びになる、ラッキー7が出て、
その人、「やったー!」と叫び、心臓麻痺でショック死。
そのニュース、ずいぶんと話題になったけど、覚えてます、丹波さん?


 「このミステリーがすごい!2007」が出た。
何はともあれ、「バカミスの世界」を熟読。
なるほど、バカミス大賞、これがあったか!
「リーグ・オブ・ジェントルマン  奇人同盟」。
確かに、殺人は頻発し、死体はゴロゴロ、至る所に謎が秘められている。
そう、村全体がファットダニットのミステリーゾーンなのだ。
「リーグ・オブ」ファンとして歓喜歓喜の乾杯!!
これを選ぶとは、小山正さん、けだし慧眼。


そして、ついにベールをぬいだ、小山正さん編集・監修による「バカミスじゃない!」。
好事家の作家たちが寄稿するバカミスのアンソロジーなのだ。
来年三月、宝島社より刊行。
俺も参加させていただく、実に光栄なり。
実は、10月頃から、小山さんは潜水艦のように密かに動いていた。
打診を受けた俺は固く口止めされていた。
さながら、忠臣蔵の討ち入りの準備の気分であった。
おお、記事によれば、鳥飼否宇さんは既に作品を完成されているではないか。
執筆後の打ち合わせとは、実にバカミスらしくてカッコいいぞ。
俺も頑張らねば。


 ちょいと前の読売新聞の文化欄にカンゲキした。
中世から近世にかけて、一時期、
「バカ」を、「馬鹿」や「莫迦」だけでなく、
「破家」
と表記した時代があったという。
バカはバカでも、
流れに翻弄されるのが馬鹿であり、
流れに逆らうのが「破家」である。
傾奇(かぶき・歌舞伎の語源)や、婆娑羅(ばさら・奔放で掟破りの侍)とも相通ずる表現といえよう。
この「破家」の「家」とは、「国家」「家名」「一家」など、既存の権勢のメタファーである。
そうした、権勢に反骨の精神を示すもの、それを「破家」という。
そう、バカミスのバカとは、この「破家」に最も近いのではないだろうか。
破家ミステリー、いいなぁ。俺も、「破家」者の一人として疾り続けよう。
そして、稀代の破家者・小山正氏の主催する破家者たちの狂喜の饗宴、
「バカミスじゃない!」
三月刊行、皆々様、とくと堪能していただきたい!!!


 晩飯、鯛のアラが頭ごと手に入った。ブツ切りにしてもらったので、アラ鍋に。
湯に浮かぶ細かい油の粒がもう見てるだけで美味しい。雑炊は絶品だ。食べきれず残りは大根と一緒に煮付けにして明日。これほどの量なのに、500円。浮いた分で、ホッキ貝の刺身を買った。



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