「不敗神話」

　小学生時代、一頃、ビー玉が流行った。
白い陶磁のような材質のビー玉が売られていて、たいそう人気があった。
それを使って勝負し、勝てば相手のを奪える、ガチンコで競ったものだ。
とんでもねえ奴がいた。
公衆トイレの男子用便器から白い消臭ボールを盗んできて、ビー玉代わりにする。
そう、白いビー玉によく似ていたから。
みんな、正体に気付いた時、仰天。
そいつから勝負で奪った玉（便所ビーと呼ばれた）を返したよ。
以来、そいつの持ってるビー玉すべてに疑惑がもたれるようになる。
本物でも汚く感じるようになったし。
みんな、そいつからビー玉をもらいたくない。
一時、そいつ、負け無しだったな。